1観客の話。
あの記事が物議を醸してるようですが、あんまりなんとも思わなかったのは多分私が特殊なんだと思います。
私は色んな事が知れて良かったと思います。
作り手(劇団関係者)と受け手(観客)の違いや、受け手の現在の環境によって千差万別の考えがあると思ってます。
作り手が思いを伝えたように、こんな客もいるという事も書いておきたいと思います。
まずはバックグラウンドを。
私は札幌のベッドタウンに実家のある、道外(愛知県)在住、既婚者子供なしの札幌演劇ファンです。
14年前に北海道を離れ、いつもあったTEAM NACSの番組がなくなり(当時は水曜どうでしょうクラシックしか北海道を感じるものは愛知県にはありませんでしたし、やっと大泉さんが全国放送のドラマに出始めたくらい)、そこからTEAM NACSさんを好きになりました。
当時彼氏(現旦那)も愛知県在住ながら水曜どうでしょうを知っており、一緒に舞台に行くようになりました。
私はNACSでは戸次さんのファンになり、戸次さんと同級生の江田由紀浩さんの存在を知る事になります。ここが私の札幌演劇との出会いです。
ジャンボリー中やファンミ中に江田さんはイベントを開催して下さり、戸次さんの話が聞けるのかなと思いイベントに参加し始めました。
江田さんやJさんの存在をそこで知り、話も面白くて初めて見に行ったのがELEVEN NINES「あっちこっち佐藤さん」(2014年)でした。
こんな面白い劇が札幌にあったんだ!と思い、次は川井J竜輔さんが出たパインソー「フリッピング」(2015年)でした。
当時NEXSTAGEの白鳥雄介さんが出ているのも決め手でした。
この2つの舞台は私に大いに影響を与え、札幌演劇が大好きになりました。
掘り下げれば掘り下げる程、面白い舞台や素敵な役者さんにハマりました。今ではそれなりに札幌の劇団の名前を上げれます。
そして、道外からの遠征組、地元の観劇者にそれなりに知り合いや友達が出来ました。
まずは道外の人間が札幌演劇にハマるとぶち当たる壁。
遠征費です。
私は実家というホテル代がなかったり、自営業という事もあり、休みは取り放題です。制限はそんなにありません。(既婚者なので、旦那の許し次第ですが、最近は北海道滞在は2週間から1ヶ月)
最近のホテル代はピンキリですが、カプセルホテルだと1泊3000円台とかあるのかな?安いホテルになると4000円から土日だと1万弱とか。
飛行機とホテルのセットだと安くなったり、色々工夫して道外から飛んできます。
見に行ける予算もあります。(でも貯金はないよ!←)
飛行機代は愛知県から札幌だと安ければ4000円台から40000円(ANA、JAL正規運賃)台まで幅広いです。
私が特殊な札幌演劇ファンだとは自覚しております。
休みが取りづらい職業の方や、経済的に難しいと考える方。色んな方いらっしゃいます。
さて本題。
私は好きな役者さんが出ているかそうでないかで舞台を選んでいます。(多分割と多いのではないでしょうか?)
作品は後付けになりがちですが、話が面白いと感じるのは商業的なものが好きなのかもしれません。
札幌の今の演劇って、道外からの遠征組も多くいます。そうなるとどうしても遠征費もかかります。よって好きな役者さんが出てるものしか行きません。
そこが作品を見て欲しい作り手さん(劇団関係者)と役者さん目当ての受け手(観客)さんの思いの違いなんじゃないかなと感じました。
あとは知名度です。
CMに出ていたり、この声があの役者さんだよと言いやすく、誘いやすくなります。
最近札幌の役者さんがCM(北海道限定だけど)をやるようになって、この人のお芝居があるから見に行かない?と誘えるようにもなりました。つまり可視化。
パッケージ化されるのは…と思う作り手さんがいるのはわかります。
生の演劇を感じて欲しいのもわかります。
でも人に勧める時に映像(パッケージや動画)があるのは大変助かります。過去こういう公演をやってて、次新作のお芝居があるから良かったら一緒に見に行かない?と誘えるからです。
それだけまだ札幌では演劇が生活に根付いてないとは思います。
札幌の人口は約200万人。
どれだけの人が札幌演劇を見ているんでしょうか?
観劇を趣味としない札幌の友人は何人かいますが、どこに劇場があるのかさえ知りません。
そんな人たちを新規で連れてくる難しさのハードルを下げてるのが演劇シーズンだと思ってます。演劇シーズンになるとワイドショーでも取り上げてくれたり、最近よく新聞にも載ってます。それで少しずつ札幌演劇シーズンという言葉はわかったかと思います。
ただ、それだけで見に行くお客様はいるのか。
この際だから思ってる事も言いますが夏のお盆、冬の雪まつりの演劇シーズンだと道外組は遠征がしづらいです。
飛行機代、宿泊代見た事あります?見に行きたいのは山々だけど、びっくりするほど高いんですよ。で遠征組は諦める事もあります。1週ずれたらいけるのに…と思う事もあります。だからこそ、それなりのクオリティがわかっているものじゃないと行きづらいです。
後は日時と会場。
日時はとにかく休みが取れる人と、取りづらい人にとっては休みを勝ち取るのも難しいんですよね。(札幌は役者さんもお仕事兼任してる方が沢山いるとは思いますが。)
そして、時間。マチソワで違う劇場とか行ったりするので。
日時・会場・好きな役者さん、作品のテーマ。
全て揃っていたら行くという感じの人がそれなりの人数いると思います。
どうしたらお客さんを呼べるのかは永遠のテーマかもしれません。
新しいお客様を呼ぶにはどうしたらいいか。
例えば私の友人はNACSにハマってよく北海道に来てくれるようになりました。
道外からの遠征組が初めて札幌演劇を見る子を連れてきたら割引とか(チケット代負担してるかもしれないので、アンケート必須でとか)、他のフォロワーさんが言ってたのは舞台のテーマによって該当者には割引とか。(例:あっちこっち佐藤さんで、佐藤さん割引)
チケット代はもう少し上げてもいいんじゃないか?と思う劇団さんは何ヶ所かありますし、このままでいいんじゃないかなと思う劇団さんもあります。
江田由紀浩さんは先駆者だと思います。色んな事を考え、江田noファンクラブのTwitterのアイコン企画では凄い人数の方が参加されました。
江田さんの企画や試み、とても斬新で面白いです。こんな人がもっと札幌に増えたらと思います。
お金の話を表に出すのって中々勇気のいる事ですが、自営業の私にとっては勉強になりました。劇団の代表の皆様には頭が下がります。(役者さんは尊敬です。)
札幌はつまらないとは思ってません。むしろ面白いです。
だからこそ札幌に住んでて、演劇だけで食べて行けるようになったらいいのにと思いを馳せながら私はいつも差し入れを買います(笑)だって頑張って欲しいから。遠方だから出来る事もあると思います。
伸び代しかない札幌演劇です。作り手と受け手が少し歩み寄って、素晴らしい舞台を作り上げ、それを見て楽しみたいなと思います。
最後に。
多分文字だけだと伝わらないニュアンスもあるかと思いますが、問題定義として色んな事を考えるきっかけになったと思います。(観客側も役者側も)
裏側を見せるなともあると思うのですが、これからの札幌演劇を考える上であの記事を出したと思いたいです。
後半の記事、楽しみです。